ロシア・エルブルース
2000年9月14日(木)〜24日(日)
9月14日(木)成田=モスクワ ホテル「ベルグラード」泊
9月15日(金)モスクワ=ミネラリネア・ヴォディー=アザウ 「ロコボ・ロッジ」泊
9月16日(土)「ロコボ・ロッジ」〜ロープウェイ〜チゲットの肩〜ロープウェイ 「ロコボ・ロッジ」泊
9月17日(日)「ロコボ・ロッジ」〜ロープウェイ〜リフト〜ガラバシ小屋〜11番小屋〜往路を戻る〜「ロコボ・ロッジ」泊
9月18日(月)「ロコボ・ロッジ」〜ロープウェイ〜ガラバシ小屋〜11番小屋より少し上〜ガラバシ小屋泊
9月19日(火)ガラバシ小屋〜パストホフロック〜ガラバシ小屋泊
9月20日(水)ガラバシ小屋=雪上車〜エルブルース山頂〜ガラバシ小屋〜ロープウェイ〜「ロコボ・ロッジ」泊
9月21日(木)「ロコボ・ロッジ」〜トレッキング〜滝〜「ロコボ・ロッジ」泊
9月22日(金)「ロコボ・ロッジ」=バス=登山口〜トレッキング〜氷河湖〜登山口=バス=「ロコボ・ロッジ」泊
9月23日(土)「ロコボ・ロッジ」=ミネラリネア・ヴォディー=モスクワ市内観光=空港
9月24日(日)=成田
メンバー 田中、他
9月14日(木)小雨又はくもり
◆とうとうエルブルースに出発してしまった。駅まで妻が見送りに来てくれた。6kのダッフルバッグを持って少し目に涙を浮かべていた。たったの11日間だけだと言うのに。山を始めたときエルブルースなんて遠い夢の世界だと思っていた。それが現実になろうとしている。今までの海外登山の経験から言って失敗はありえない。他人が登れるのだから私も登れる。たとえ高山病になっても大量に頭痛薬を飲んで登らねばならない。やっとここまで来たのだから。出発前日まで7日連続出勤、日本に帰ってから翌日から又、7日連続出勤しかも7日目から夜行日帰りで北岳バットレスに登りに行く。
◆成田空港をエアロフロートで12:00に出発。メンバーは私とガイド含めても6名。変な人ばかりだ。スキーを持って下駄を履いて、ジャージを着て空港のドアの外で縦笛(南米の楽器)を吹いている、この人は特に変わっていてエルブルース下山後トレッキングで滝を見に行った時、凄い寒いのに下半身だけ全部脱いで滝に打たれたのだ。まさかこの人がエルブルーステレマーク滑降日本人で初めてになったのだ。帰ってきて家で「ロック&スノー」という雑誌にテレマークの大会の順位表に名前が載っていた。
◆飛行機は行きも帰りも喫煙席をとった。隣の席に一つ年下の東京農大庶務課の課長補佐というかっこい男性と機内の中話をしていていい時間つぶしになった。東武東上線の朝霞台に住んでいるという生まれも育ちも朝霞台で大学にそのまま残ったと言う。
◆モスクワ着、ホテル「ベルグラード」、今回はタバコを吸うのは5人の中で私だけなので一人部屋になった。ラッキー。小さなバスタブ、テレビはつかない、暖房も利かない。ロシアは寒い。少し着込んでみんなで夕食を食べてから一人で街に出てみる。ホテルのレストランでビールを飲んだが値段が高い。冷んやりとするがこの後、山に行って寒さに慣れてくる。日本に帰ったら寒いんだろうな?
ホテルの側の建物(夜) モスクワの朝陽
  
ホテル「ベルグラード」の部屋 モスクワの夜 ホテル「ベルグラード」

9月15日(金)くもり
◆9時25分ににベルグラードのロビーに集合。全員でホテルの朝食(バイキング)を食べる。モスクワのウダコブ空港から国内線でミネラリネア・ヴォディーへ。小さな空港で田舎そのもの。コーカサス山脈の山麓のアザウへ車で向かう。着後、軽いトレッキングの予定だったが雨が降ってきたので「ロコボ・ロッジ」でビールを飲む。若い3人で一部屋、年寄り(61歳と62歳)二人で一部屋。
ミネラリネア・ヴォディーへ 「ロコボ・ロッジ」の前で番犬と一緒に
「ロコボ・ロッジ」の番犬 「ロコボ・ロッジ」

◆「ロコボ・ロッジ」は小さなロッジで私たちの貸切だった。私の部屋は2階で食堂は地下だった。犬が一匹と猫が3匹いて猫が私のベッドの下で寝ていたりシュラフの上で寝ていたり私はいつも猫と遊んでいた。とても私の気持ちをこの動物達が和ませてくれた。
 
 
9月16日(土)曇り
◆朝9時に朝食、10時に出発。朝が遅いため、昨日行く予定だった、アザウ谷の滝を見にFさんIさんと3人で見に行く。その後、朝食を食べてスキーリフトを往復利用しチゲットの肩(3500m)まで高度順応をしに行く。上には少し雪があった。エルブルースが時折見えた。下山後、リフト乗り場の下にあるレストランでシシカバブなどをビールを飲みながら昼食にする。初めてロッジのシャワーを浴びるがぬるくて寒い。
朝、見に行ったアザウ谷の滝 チゲットの肩
 
チゲットの肩から見たエルブルース 世界百名山にも入っている名峰ウシュバ
                                                                             
9月17日(日)曇り
◆山の用意をして8時朝食、9時出発。徒歩にてロープウェイ乗り場へ。ロープウェイ2本とリフト1本を乗り継いで3800mへ。さらに11番小屋跡(4200m)まで行くが風が強くなりみぞれも降り出したので新しい建築中の11番小屋へ入る。下山してロープウェイ乗り場でシシカバブとビールで遅い昼食をすます。「ロコボ・ロッジ」のシャワーは寒くては入れないとこぼすとサウナに入れてくれる。蒔きで石を熱しそれに水をかけ水蒸気で部屋を熱くする。
ガラバシ小屋の前で観光の韓国人と 建設中の新11番小屋
ガラバシ小屋の倉庫 ガラバシ小屋の前
11番小屋の側の岩 高度順応中
パストホフロック  ロープウェイ乗り場のシシカバブ
ロープウェイ  「ロコボ・ロッジ」の周り
 
9月18日(月)快晴
◆8時朝食、9時出発。荷物を全部持ってロープウェイに乗る。リフトは日曜日しか動かずリフトの分は歩くことにする。ガラバシ小屋に荷物を置き、11番小屋の少し上まで(4200m地点)高度順応する。夜、頭が痛くて眠れず夜中の1時30分頃、頭痛薬の一錠飲む。その後眠れる。夕食はドライフーズの親子丼を食べる。
   
出発の日の朝「ロコボ・ロッジ」の前で全員で記念撮影 エルブルース

9月19日(火)快晴
◆9時朝食、10時出発。徒歩にてパストホフロック(4700m)へ行く。予定表だとここまでだがもう少し上まで高度順応すると言う。私と61歳の方だけ調子が悪くて行けない。完全に高山病になってしまった。頭痛薬を2錠飲んで7時にシュラフに入る。夕食はドライフーズのご飯とレトルトのカレーを食べる。61歳の方は38度の熱が出て薬を飲んで明日はダメかもと諦めている。
高度順応中 ガラバシ小屋の中 

エルブルースはピッケルはいらないストックしか持って行かなかった
ヨーロッパ最高峰エルブルース西峰(5642m)登頂
楽々に登れたエルブルース
9月20日(水)快晴
 夜中の2時に起床、3時出発予定だが2時45分に雪上車(キャット)で出発。アイゼンをつけて行く。61歳の方は体温計で計ったら37度5分の熱があり登頂を断念する。「ロコボ・ロッジ」のオーナーが向かいに来て降りるそうだ。昼食は「ロコボ・ロッジ」で食べるそうだ。雪上車(キャット)の運転手は「ロコボ・ロッジ」のオーナーがやっており今までにないくらい上まで行ってくれた。キャットを降りて歩き出すと歩いているのに手と足が冷たくなってきている。この感覚は−20℃近くあるに違いない。この後、温度計では−15℃、頂上でも日が出ているのに−15℃下山は気温が上がってくる。高山病対策のため出発前に頭痛薬を一錠飲んで出る。痛くなったらいつでも飲めるようにポケットには痛み止めが一箱入っている。飲んでいるのもみっともないのでみんなには内緒だ。それにしても登頂日にベストコンデションに体調を作れた。調子が抜群に良い。昨夜は7時間程横になっていたからだろう。薬を飲んだのでよく眠っていたそうだ。頂上まで絶対に行ける。楽勝だ。みんなより足が速い。快適に頂上に登れた、下山は暖かくなってきて天気も良いので一人でのんびり雪面を降りる。エルブルースはピッケルはいらないストックしか持って行かなかった、その分荷物が減るし。そもそも悪天では山頂には行けないので登らないから岩場もないしストックだけで充分。スキーを持ってきた人はクレバスに落ちないようにと地元のスノーボーダーのガイドがついた。このガイドは地元のスキーの大会で優勝したこともあり片山右京を家に泊めてエルブルースをガイドしたそうだ。まだ20代ぐらいだ。結局スキーを持って登った人はエルブルース、テレマーク滑降日本人で初めての人になった。日本に帰国してから「ロック&スノー」という雑誌を見ていたらこの方はテレマークの大会で入賞していた。ガラバシ小屋に降りて少し休憩してから荷物をまとめてロープウェイ乗り場まで下山する。ロープウェイ乗り場の屋台で昼食にまたシシカバブを食べる。これ以外の食べ物はここにはないのです。
                      
最後の登り 最後の登り
  
サドル(西峰と東峰の分岐)から西峰へ登る

山頂のてっぺんで! エルブルース西峰の山頂
                   
              エルブルース             
エルブルース山頂からの眺め
    
         エルブルース山頂からの眺め          
◆今回のメンバーは高所登山の経験の豊富な人達で5人中5人がキリマンジャロに登っている。3人がモンブラン、2人がチンボラソ、さらにアコンガグア、ケニア山、マッターホルン、シシャパンマなど揚げたらきりがない。エルブルースぐらいになるとこのような人たちが集まるものだ。しかし、これは私のエルブルース登山。経歴など関係ない。私が登れれば良い。私は恥ずかしくて山だけでなく職業すら言えない。
しかし今回はついている。高度順化が進んでいなかった私が、タバコを登頂日の朝、吸っていた私が、しかし登頂日と前日はガラバシ小屋より上では吸っていない。天気もぎりぎり今日まで快晴で持ってくれた。この後は雲が出てきて2日間とも無理だろう。
夕食の時にガイドのバロージャが登頂証明書をくれた
  
登頂証明書の裏にサインが入った

9月21日(木)曇り
 「ロコボ・ロッジ」の裏から歩いて岩の丘を登る。滝を見に行くトレッキング。山頂はレーダードーム見たい?な物がある所でチゲットの肩から見えたエルブルースの氷河が切れた少し下。「ロコボ・ロッジ」に泊まっている時は毎日宴会をした。特にエルブルースが終わってから2日間登頂予備日があまってしまったのでウォッカやビール、ワインなど飲んでた。ウォッカやワインは日本円で300円くらい。近所に一軒だけ小さな店があるそこで土産用のワインやキャビアを購入する。キャビアは800円位。モスクワのスーパーに行ったら2000円くらいになっていたが帰りの空港で見たら8000円くらいになっていた。エルブルースのラベルの付いた「エルブルースウォッカ」は記念に1本持って帰ってきた。
 
「ロコボ・ロッジ」の食堂
ロシアで飲んだ酒
  
ロシアのオリンピック代表候補がトレーニングをしている  トレッキング
           
滝の裏側の入れる 山頂

滝の裏側に入った 滝の裏側に入ったのでビショビショになった



◆ガイドのバロージャは登山ガイドだけでは生活が出来ないので現地の「プレーボーイ」と言う雑誌のカメラマンもやっていて個人的に写真を沢山撮ってくれて日本に送るよと言ってたがこのような話はたいていリップサービス的なものだが本当に少し大きな写真が自宅に数枚送られてきた。登山風景は現地のガイド兼カメラマンが撮ってくれた。まとめて10ドルで買うのだが。バロージャはロシアの山の写真集&ガイドブックも出しておりロシア語版と英語版があったので英語版を記念に買った。もちろんサイン入りです。
「ロコボ・ロッジ」の食事は毎日、トマトときゅうりのサラダがでる。ロシア料理はボルシチしか知らないのでボルシチが食べたいと言ったら肉の入っていないボルシチが2日連続で出た。
旧ソビエト連峰時代の廃墟に進入 旧ソビエト連峰時代の廃墟の最上階
       
岩登りの練習?

◆「ロコボ・ロッジ」の隣には旧ソビエト連峰時代の廃墟となったビルがありヘッドランプを点けて探検気分で最上階まで上がってみた。このビルの石壁で岩登りの練習をした。オーバーハングの屋根を越えたらコンクリートが崩れ落ちた。
9月22日(金)曇り
 「ロコボ・ロッジ」から車にのって少し遠い山の登山口のゲートまで行き氷河湖までトレッキングをする。ウシュバの麓のようだ。すぐそこに氷河が見える場所まで行った。ガイドのバロージャは裸になってマイナス数度の気温の中、氷河湖に気合を入れて飛び込んだ。さすがにこれは日本人では出来ない。バロージャは今回、調子が悪いと言ってエルブルースの山頂までこなかった。
 氷河湖の前で
トレッキングで岩を見つけては登って遊んでいた
 
この谷にトレッキングに行った 氷河湖で泳ぐバロージャ
岩壁 
登山口にあるソビエト時代の建物 

◆ガイドのバロージャはロシアの山は登っているが外国に行くのは簡単に行けないので外国の山にはあまり登った事がないと言う。ヨーロッパアルプスはコーカサス山脈より標高で1000m低く、アルプスは子供の遊び場だと言ってたのが印象的だった。
9月23日(土)曇り
◆飛行機の時間が早いため夜中の3時に出発。ミネラリネア・ヴォディーの空港で特別室でパンやコーヒーを飲みながら時間をつぶす。空港の中でおばあさんがピロシキ、ピロシキと言って売っていた。タバコを一種類ずつ20箱くらい買ったがどれもまずくて吸えなかった。(強すぎる)国内線でモスクワに行く。バロージャの家に行ってガイドが荷物を置いてくる。赤の広場などを歩いて回る。スーパーに行ったり地下鉄に乗ったりもした。夜の飛行機で日本へ帰る。
   モスクワ市内観光

9月24日(日) 成田着。

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